資格取得に使える会社の制度はあります。代表例は、会社が従業員の訓練費用や訓練中の賃金の一部について助成を受けられる「人材開発支援助成金」です。ただし、資格を取れば自動的に支給されるわけではなく、対象となる訓練、申請時期、会社側の要件を満たす必要があります。
資格取得に使える会社の補助金・助成金はある
会社が従業員に資格取得のための研修を受けさせる場合、国や自治体の助成制度を利用できる可能性があります。特に確認したいのが、厚生労働省の「人材開発支援助成金」です。
この制度は、会社が従業員に対して職務に関連する訓練を実施した場合に、訓練にかかった費用や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。対象となる訓練の内容や会社の区分によって、利用できるコースや助成内容が変わります。
ただし、制度上は「資格試験の受験料を支給する制度」とは限りません。資格取得に向けた講座や研修が対象でも、試験料、教材費、登録料などが対象外になる場合があります。
代表的な「人材開発支援助成金」の対象になりやすい費用
人材開発支援助成金では、会社が計画的に職業訓練を行ったことが重視されます。一般に、次のような費用や時間が関係します。
- 資格取得に向けた講座・研修の受講料
- 研修で使用する教材費の一部
- 訓練を受けている時間の賃金に関する助成
ただし、すべての資格講座や受験費用が対象になるわけではありません。訓練が業務に必要か、対象となる従業員か、訓練の時間数や実施方法が要件を満たしているかなどの確認が必要です。
会社の補助金制度と従業員向けの給付制度は違う
資格取得に関係する制度には、会社が申請する助成金と、従業員本人が申請する給付金があります。名前や目的が似ているため、分けて考えることが大切です。
| 制度の種類 | 主な申請者 | 支援の対象 |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金 | 会社 | 従業員への職業訓練にかかる費用や賃金の一部 |
| 教育訓練給付制度 | 一定の条件を満たす従業員・離職者 | 指定された教育訓練の受講費用の一部 |
| 会社独自の資格取得支援制度 | 会社の規定による | 受験料、講座費用、合格報奨金など |
たとえば、会社が受講料を負担する制度と、従業員本人が教育訓練給付を申請する制度は別です。同じ講座について両方の支援を受けられるかは、制度の併用条件を確認しなければなりません。
会社独自の資格取得支援制度も確認する
国の助成金とは別に、会社が就業規則や社内規定で資格取得を支援している場合があります。補助金という名称ではなく、次のような制度名で定められていることがあります。
- 資格取得支援制度
- 自己啓発支援制度
- 受験料補助制度
- 研修費補助制度
- 資格手当
- 合格報奨金
会社独自の制度なら、国の助成金よりも対象資格や申請方法が広いことがあります。一方で、対象資格、補助率、上限額、在籍期間、合格条件、退職時の返還条件などは会社ごとに異なります。
「資格を取れば必ず会社が費用を負担する」とは限らないため、受講や受験を申し込む前に社内規定を確認してください。
資格取得支援を利用できるか確認する手順
制度を使えるか判断するには、資格の名前だけでなく、会社の業務との関係と申請時期を確認します。次の順番で調べると、自己負担が発生してから対象外と分かる事態を避けやすくなります。
- 資格と業務の関係を整理する
その資格が現在の仕事や担当予定の業務に必要か、会社から取得を求められているかを確認します。 - 会社の就業規則や社内ポータルを確認する
「資格取得支援」「研修費補助」「自己啓発支援」などの規定を探し、対象資格、補助の上限、申請期限を確認します。 - 人事・総務・上司に受講前に相談する
講座名、受講料、受講開始日、試験日を伝え、受講料・教材費・受験料・登録料のどこまでが対象かを確認します。 - 国や自治体の制度を確認する
会社が申請する助成金を利用する場合は、会社側が対象要件と申請期限を確認します。従業員本人が申請する給付制度とは、申請先や条件が異なります。 - 承認や申請が済んでから申し込む
制度によっては、訓練の開始前や受講契約の前に計画の提出が必要です。先に申し込むと、助成の対象外になる可能性があります。
資格取得で補助を受けるときの注意点
受験料だけでは対象にならないことがある
資格試験の受験料だけを会社が補助する制度と、訓練費用を助成する制度は異なります。講座が対象でも、試験料や資格登録料まで含まれるとは限りません。
申請前に受講すると対象外になることがある
公的な助成金は、会社が訓練計画を作成し、所定の手続きを行ってから訓練を始めることを求められる場合があります。申請や社内承認の前に受講を始めず、会社の担当部署へ先に相談してください。
会社が受け取る助成金と本人の負担額は一致しない
会社が助成金を受け取れる場合でも、その金額が従業員にそのまま支給されるとは限りません。会社が費用を負担するのか、いったん本人が立て替えるのか、助成金を受けた後に精算するのかは、会社の運用によって決まります。
退職時の返還条件を確認する
会社独自の制度では、資格取得後の一定期間に退職した場合、補助金の一部返還を求める規定が設けられていることがあります。申請書や規定に返還条件がないか確認しましょう。
会社の資格取得支援を使うときの判断ポイント
まず確認するのは、資格が会社の業務に関連しているか、会社の制度に対象資格として記載されているか、受講前の申請が必要かの3点です。
会社の助成金を利用できる可能性はありますが、資格名だけでは可否を判断できません。資格取得を考えたら、申し込み前に人事・総務担当者へ「この講座の受講料、教材費、受験料、登録料はどこまで補助の対象ですか」と具体的に確認してください。







